学園長 式辞


 高校の卒業式で式辞を読みました。ワープロで書いてプリントして貼り付けたら6枚になりました。このように原稿を用意することは3年後にとっといて、今日は原稿なしでやります。

 僕の話は3つあります。1つ目は、僕の論を紹介します。人生には4つ誕生日があります。1回目の誕生日は生まれた時です。2回目、3回目、4回目はいつでしょう。考えてみてください。ちなみに当てた人はいません。普通の人は、結婚した時、子供が生まれた時と答えるでしょう。でも、双子だったりたくさん子供が生まれたりしたらどうするのでしょう。2回目の誕生日は自分という人間に気付いた時です。僕は何だろう、なぜ生まれてきたのだろう、どうしてここにいるのだろう。そのような疑問を持ち、そしてその答えを得た時、いわゆる精神を持つ人間の誕生の時です。
 では、後の2つはいつでしょう。4つ目から言います。それは死ぬときです。3つ目は、宗教の話ではありませんが、神様が存在することに気が付いたときです。神様といっても、キリスト教でも仏教でも八幡様でもなくて、宇宙を支配している天文学、物理学、生物学、化学などを全部統べていて、僕は、人がどういうこともできない絶対の真理の集まりが神だと思っています。宗教というのも哲学観に気が付いて、宇宙の法則みたいなものだということに気がついたときが3回目の誕生日だと思います。それに気が付いた人は、4回目の誕生日の時はハッピーです。気が付かなかったら、4回目の誕生日が滅びの時だと思ってしまう。何が言いたいかというと、諸君らで既に自分は何かということに気付いた人もいると思います。これから気づく人もいると思います。須磨学園にいるこれから3年の間に自我に目覚める時があると思います。自分はどうして生まれてきたのか、自分が背負っている使命に気付く時があると思います。もし在学中に来なくても大学生のうちに来ます。もし、来てほしいと願ったら早く来ると思います。ぜひ、気づいてください。

 2つ目は、xyzTについてです。道徳の時間にxyzTをやっています。これは何かというと、心を大きくもつ、高く持つ、深く持つ、心を温かく持つ。僕はみんなに言いたい。大きくなくてもいいです。でも温かく持ってほしい。高校になったら心を温かく持つ人間になってほしいと思います。そして、時々は熱く持ってほしい。人が触れると火傷するぐらいに、好きなことを一生懸命やるということがすごくいいです。好きなことを一生懸命やることは、心に情熱があるということだと思います。心を温かく持つということは、一人一人の修練や努力でできますが、熱い心を持つためには秘訣があります。それが3つ目の話です。

 熱い心を持つということを別の言い方でいうと、信念を持つということです。信念を持つとは何か。信念を分解していくと、「念を信じる」と書きます。念をさらに分解すると「今の心」と書きます。だから、信念を持つということは、「今の心を信じる」ということです。自分には大きな可能性がある、好きなことを一心不乱にするという、自分の可能性を信じることです。テストの点とかではなく、高校生、大学生、社会人になって、僕はこれをするんだ、これができるんだということを信じることができればできるほど、可能性が広がります。それが信念を持つことではないかと思います。それが熱い心につながるのではないでしょうか。高校生になって信念を持ち、熱い心を持ってほしい。xyzTは、xyzが小文字でTは大文字です。Tは絶対温度で熱くなってほしいという思いをこめて、大文字にしています。

 以上で、私の話は終わりです。

2016年3月18日 須磨学園 学園長 西 和彦