学園長 式辞


 皆さん、ご入学おめでとうございます。入学式にあたり、須磨学園高等学校の高校生としてこれからの3年間に是非実現してほしいことを1つお願いしたいと思います。 それは、これからの3年間の高校生活において、諸君らは非常に大きな変化を遂げて、決定的な瞬間を迎えると予測しています。 それは、もう一つの誕生日と出会うということです。

 もう1つの誕生日とは何か。私は、人には人生で4つの誕生日があるという話を聞いたことがあります。 今から30年以上前のことです。4つの誕生日とは何かと聞かれた時、1回目の誕生日は生まれたときだとほとんどの人が分かる。4回目の誕生日というのは、年をとって自分が死ぬときということも分かる。 しかし、2つ目と3つ目の誕生日は何かと聞くと、人によって様々な答が返ってくる。結婚した時とか子供が生まれた時とか、色んな人が色んなことを考えています。
 しかし、私が聞いた答は違います。2つ目の誕生日は自我に目覚めたときです。 つまり、自分は誰なのか、自分はどこから来たのか、自分はどうしてここにいるのか、こういった自我の確立というか人間としての目覚めを感じたとき、その人は第二の誕生日を迎えたと言えるのではないでしょうか。 私が自分は何なんだろうと思ったのは残念ながら高校時代ではありませんでした。 高校を卒業して浪人しているときに人生について考えていて、今から思えばあのときが第二の誕生日だと思っています。

 第3の誕生日は何か。これは、神に目覚めたときだと私は聞きました。須磨学園高等学校は、宗教の話と政治の話はしないというポリシーでやってきています。 ですから、神に目覚めたときと聞いた時、みなさんは宗教の話かなと思われるかもしれませんが、そうではありません。 この世界、この宇宙を支配している物理学の法則、天文学の法則、生物学の法則など、我々が生まれる前から何十億年と続いてきているこの世を司っている法則そのものが存在している。 それに対して私たちは何も働きかけができずに、それに従うだけであるという事実を知ったとき、人間にとって神に目覚める第一歩ではないかと思っています。

 これからの3年間で、諸君らには自分に目覚めるときがやってくると思います。 もしやってこなかったとしても、それを悲しむ必要はないです。必ずそのときはやってきます。 ひょっとしたら、もうすでに自我に目覚めた人もいると思います。それはそれでよいことだと思います。 私が申し上げたいことは、人生の一番の変化をつくるときに、諸君ら一人ひとりが自分というものを発見して、自分と向き合って、 卒業するときになりたい自分になるための基礎を整えてから、学校を後にしてほしいと願っています。

 入学式に際して1つのお願いをさせていただきました。諸君らの3年間の健闘を祈っています。


2015年4月4日 学園長 西 和彦