理事長 式辞


 厳しく寒い冬を通り抜けて、校庭の桜は皆さんの入学を待ちきれずに咲き誇っています。 昨日からの雨もあがり、今日はとてもいい日になりそうです。
 ただいま入学を許可された共学17期生275名ならびに中高一貫9期生121名のみなさん、ご入学おめでとうございます。 皆さんを心より歓迎いたします。 保護者の皆様、ご子息ご息女のご入学をお心よりお祝い申し上げます。 須磨学園の教育は、保護者の皆さんのご支援・ご協力なくしては成りたちません。 これから3年間、どうぞよろしくお願いいたします。 ご来賓の皆様方、本日はご多忙中にもかかわらずご列席を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。 これから生徒達を見守り、激励してくださることをお願いいたします。

 さて、新入生の皆さん。皆さんは9年間の義務教育に別れを告げて、今日から新しい生活に入られます。 今日は高校生活が始まる記念すべき1日目です。皆さんのこの新しい生活を始められるこの日に申し上げたいことが3つあります。

 1つ目は、当たり前のことは当たり前にしていただきたいということです。 そんなことはとても簡単なことだと思われる方がいらっしゃると思います。須磨学園は世間では厳しい学校と言われています。 色々な校則やルールがあります。制服をきちんと着る、時間を守る、制携帯もあります。 予習復習は当たり前のことです。何よりも授業が厳しい。しかし、須磨学園の校則やルールは、すべて世間でいうところの当たり前のことです。変な校則はありません。 もし当たり前でない校則があれば意見として出してください。こんなの非常識だ、当たり前でないと声をあげてください。 しかし、当たり前のことをきちんと行うことは実はとても難しいことです。そして、とても大切なことです。須磨学園では、当たり前のことを当たり前にしていただく。 これは最低限のことです。その上で、自分のやりたいことを一生懸命やってください。

 2つ目は、主体的に学ぶということです。 皆さんは恵まれた環境で過ごしています。だから、与えられることに慣れています。これは、我々大人の責任でもあると思います。 我々が皆さんに色々なものを与えすぎているからです。だから、皆さんは教えてもらうことにも慣れています。 やらされることにも慣れています。教えてもらっていないことややらされていないことについては、自分から学ぼうとしない傾向が見られます。 しかし、教えてもらうだけでは不十分です。やらされている限りある程度のところまでしかいくことはできません。 ですから、受け身の学びから能動的な学びを行ってもらいたい。自分が不必要だと思うものをもらうよりも、自分がほしいものを努力して手に入れる方が嬉しいのではないでしょうか。 手に入れた時の喜びを皆さんはご存知だと思います。学びも一緒です。与えられる知識の習得だけでなく、自ら学び知識を使って行動に移し実践する。 分かっているだけで行動に移していなかった人、実践できていなかった人、この機会に一歩前に踏み出してください。

 3つ目は相手の立場にたって物事を考えるということです。 自分がされて嫌なことは相手にしない。これは当たり前のこととして実践されていると思います。 自分がしてほしいことを相手にする。これも当たり前のこととして実践されていると思います。でも、それだけでは足りない部分があります。 相手の立場にたって考えてください。人はそれぞれもっている価値観が違います。他人のことなど分からない。その通りです。 では、どうすればいいのか。必要なことは、想像力を働かせることです。想像力を働かせて、相手の立場にたって問題を考えて、相手が何を望んでいるのか、相手の気持ちを考えて行動する。 これをすることで、相手とより深い関係が築けると思います。

 私の申し上げたいことは以上です。これからの3年間が皆さんにとって、密度の濃い時間になることを期待しています。

2015年4月4日 理事長 西 泰子