理事長 式辞


 校庭の桜は皆さんの入学を待ちきれずに咲き誇っています。 ただいま入学を許可された共学15期生433名、ならびに中高一貫7期生88名の皆さん、ご入学おめでとうございます。 保護者の皆様、ご子息ご息女のご入学をお喜びのことと存じます。 心よりお祝いを申し上げます。これから3年間の高校生活においてご家庭のご理解とご協力なくしては本校の教育は成り立ちません。 どうぞよろしくお願い申し上げます。ご来賓の皆様方、本日はご多忙中にも関わらず、ご臨席を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。 これから生徒たちを見守り激励してくださることをお願いします。

 さて、新入生の皆さん、皆さんは9年間の義務教育に別れを告げて今日から新しい生活に入られます。 皆さんは須磨学園高等学校の生徒になられます。須磨学園の生徒になられる皆さんに、申し上げたいことが4つあります。

 1つ目は、当たり前のことは当たり前にする、ということです。とても簡単なことです。 須磨学園は世間では厳しい学校と言われています。色んな校則やルールがあります。 制服をきちんと着る、時間を守る、制携帯なるものもあります。予習復習は当たり前のこととしてやって頂きます。 なによりも授業が厳しい。授業はきちんと聴く。 しかし、須磨学園の校則やルールは、すべてが世間でいうところの「当たり前」のことです。妙な校則はありません。 もし、当たり前でない校則があれば、皆さん意見として出してください。「これは世間の非常識だ。当たり前ではない。」と。 当たり前のことを当たり前にすることは、実はとても難しいことです。そして、とても大切なことです。 須磨学園では当たり前のことを当たり前にしてもらう。これは最低限のことです。その上で、自分のやりたいことを一所懸命にやってください。

 2つ目は、失敗を畏れずにチャレンジするということです。 これからの3年間は皆さんが将来どういう大人になるのか、どういう大人になり社会と関わっていくのかということの大きな方向を決める大事な3年間です。 迷う事も多くあるでしょう。悩むこともあるでしょう。悩んだり、迷ったりした時には、私は皆さんに困難な道を選ぶことをおすすめしたい。 簡単な道、イージーな道を選ぶことよりも、難しい道、険しい道を選んでいただきたい。 なぜなら、困難な道はやりがいがあるからです。困難な道には失敗がつきものです。 失敗すること、これもまたとても重要なことです。大切な経験です。人生において一度も失敗を経験しない人はいません。 いるとすれば、何もチャレンジしなかった人でしょう。または幸運の女神に愛された稀なる人です。ほとんどの方が何らかの失敗をします。 しかし、皆さんは今守られた立場にいます。守られた立場にいるときこそ、失敗を畏れずに色々なことに果敢にチャレンジしてください。 何度でもやり直しができます。今こそ、様々なことにチャレンジする時です。ただ一つだけ気をつけていただきたいことがあります。 人を傷つけることにはチャレンジしないでください。人を傷つけること、自分を傷つけること、親を傷つけること。これらはしないでください。 皆さんは誰も人を傷つける権利を持っていません。

 3つ目は、主体的に学ぶということです。皆さんは、恵まれた環境で過ごしていらっしゃっています。 だから与えられることに慣れておられます。これは我々大人の責任でもあります。 私たちが皆さんに色んなものを与え過ぎているからです。私たちが皆さんに教え過ぎているからです。 だから皆さんは教えてもらうことに慣れている。やらされることに慣れている。 教えてもらえないことや、やらされていないことについては、自分から学ぼうとしない人が多い傾向がみられます。 教えてもらうだけでは不十分です。やらされている限りはある程度のところまでしかいけません。 ですから、受け身の学びから能動的な学びを行ってもらいたい。 要らない物をもらうより、自分の欲しいものを手にいれる努力をして手に入れた方がうれしいでしょう。 手に入れた時の喜びを皆さんご存知だと思います。学びも一緒です。あたえられる知識の習得だけではなく、自ら学び、知識を使って実践していただきたい。 分かっているだけで行動に移せない人、実践できない人。一歩前に踏み出してください。

 4つ目は、相手の立場に立って物事を考える、ということです。 自分がされたら嫌なことは相手にはしない。これは当たり前のこととして皆さん実践されていると思います。 自分がしてもらいたいことを相手にする。これを当たり前と考えて実践している人がいますが、それだけではまだ足りない部分があります。 相手の立場にたってものごとを考えてください。皆それぞれ持っている価値観が違います。 人のことなど分からない。そうです。では、どうすればいいのか。必要なことは想像力をはたらかせることです。 イマジネーションの問題です。想像力を働かせて相手の立場に立って問題を考えて、相手の気持ちを考えて行動すること。 このことをすることによって、他人とより深く理解しあえる関係が築いていけると思います。

 私が申し上げたいことは以上です。これからの2年と11ヶ月が皆さんにとって密度の濃い時間になることを期待しています。


2013年4月6日 理事長 西 泰子