学園長 訓話



 おはようございます。
 四月の新学期を迎えるにあたり、今日のお話は生物の質問から始めます。
 「ヒトは目で光を感じる。耳で音を感じる。舌で味を感じる。皮膚で温度や圧力を感じる。 それでは、ヒトはどこで時間を感じるのでしょうか。時間を感じるヒトの体の器官はどこでしょうか。」

 ヒトの体の中に時間を感じる器官・臓器は無いと言ってもいいと思います。網膜や鼓膜のような器官は無いのです。 管弦楽部の生徒はどこで時間を感じているのか。それは、専門だから慣れているかもしれません。 絶対音感というのはあるが、絶対リズム感というのは非常に難しい。 では、ヒトはどこで時間を感じるのか。 時間とヒトの体の関係は、心の持ちようが大きな役割を果たしているということが最近の研究で分かってきています。
 どういうことかというと、「嫌だ」と思ったときに時間がすごく長く感じる。 僕のこの話を聞いている時に、「嫌だなあ、早く終わらないかなあ。」と思ったら僕の話はすごく長いです。 例えば、電話を掛けるときに呼び出しベルが10回、20回と鳴って待たされているとき、すごく時間が長く感じる。 3分も待たされたらみんな怒って電話を切ってしまう。 でも、電話がつながってから3分話すと、あっという間に時間が過ぎてしまう。 これはどういうことか。 それは、待っている時に「嫌だ」と思うからです。「嫌だ」と思ったらどうなるか。 「嫌だ」と思った瞬間に、ストレスホルモンのアドレナリンが出る。 これが出ると、ヒトの体は時間が長く感じることになるのです。話し始めると「嫌」ではなくなるから。 時間のたつのが早く感じることになるということです。

 そこで、今日諸君らに何を言いたいか。「嫌だと思ったら負けだ」ということです。
 嫌いな授業がある、誰々の数学、誰々の英語・・。 授業を「嫌だ」と思って聞いたら60分は凄く長い。 逆に「嫌だ」と思わなかったらどうか。60分の授業があっという間に終わってしまう。 だから、僕は諸君らにお願いしたい。嫌だと思っている科目を嫌だと思うことをやめてほしい。 嫌だと思わないで、その科目を好きになってほしい。 得意な科目を嫌いだという人はいないと思います。 不得意な科目は大体嫌だと言う。 だから、不得意な科目を一つでいいから、嫌だということをやめて考え方、ものの見方を変えてほしい。 それから、普通の科目を一つ好きになってほしい。 そういう風にすると、不得意な科目が普通の科目になって、普通の科目が得意な科目になって、毎日の授業はあっという間に終わると思います。 時間の感覚というのは自分の心の持ちようであるということをぜひ覚えてほしいのです。 生物に興味がある人は、ぜひ人間の体と時間の感覚の関係を図書室や、インターネットを使ったりして調べてください。

 楽しく一日を過ごしましょう。理想的なのは、朝学校に来て気づいたら学校が終わっていたということです。そういう風になれば、いいなと思います。

これで、年度初めの話を終わります。

2013年4月5日 学園長 西 和彦