学園長挨拶


 明けましておめでとうございます。

 みなさんは、箱根の駅伝を見ましたか。箱根の駅伝について、とても嬉しかった事が2つあります。
 それは、法政大学の近藤洋平(こんどう ようへい)君と明治大学の大江啓貴(おおえ ひろき)君、この2名は須磨学園の出身であります。須磨学園の出身だという事が、テロップに流れた時、私はとても嬉しかったです。須磨学園を卒業して、広い世の中に出て、さらに活躍を続けてくれているということを目の当たりにして、とてもとてもうれしく感じました。

 箱根の駅伝を見ていると、確か、解説者のオリンピックプレーヤーの瀬古さんだったと思いますが、この人がどういう人が勝つのかについて言っておられました。それは、「安定した走りをしている人だ」ということでした。
 私は、この箱根駅伝に勝つという安定した走り、これと同じものが、我々のこれからの生活にも必要なのではないかと思っています。

 特にV2とK3の受験される諸君、これからの1月、2月、3月に必要なものは、何といっても「安定している」という事ではないかと思います。
 安定した身体、安定した心、この延長線上にこの3年間、この6年間、目指してきたものの結果が、成功があると言ってもいいのではないでしょうか。

 それでは、どうしたら身体が安定するのでしょうか。
私はその身体の安定は第一に、毎日決まった時間に決まった事をする。試験の時間には、自分の身体の調子がベストなコンディションになっているように、毎日自分をトレーニングして慣らしていくという事ではないかと思います。つまり、これはタイムマネージメントを通して、自分の身体のチューンアップをしていくという、ウォームアップをしていくという事ではないでしょうか。

 次に、心の安定という事について考えてみました。
タイムマネージメントが身体の安定であるならば、心の安定はストレスマネージメントという事に尽きますが、ストレスマネージメントが何かという事を、今まで実践したきた訳ではないので、これは、少し困ってしまいます。この心の安定の為のストレスマネージメントとは、何かという事について、今日は少し考えてみたいと思います。

 あの厳しい箱根駅伝。
 あの厳しい走りを走り抜く事が出来る一番大きな力は、それは「人は1人であの厳しい道を走り抜けるのではなく、集団で走る」という事だと思います。
 競争している相手と集団で走る。バトンを受け渡す仲間と集団で走る。グループで走る。我々が生きているこの世の中は、我々1人だけで生きているのではなくて、集団で色んな生活をしています。

 だから、自分が心の安定を失った時にまず、考えてほしいのは、自分は1人ではないという事です。
 周りのお友達、周りにいる教員、周りにいる人たちと、お父さん、お母さん、兄弟。周りにいる人たちと話し合う事によって、皆さん方は心の安定を取り戻すのではないかと思います。
 大人の世界ですけど、お酒をやめるという事もタバコをやめるという事も1人ではなかなか出来ない。集団で取り組むという事がいいという風に言われています。

 さて、集団で出来る事と同時に、心の安定の為には1人で出来る事もたくさんあると思います。
 この、1人で出来る事の中で一番大切な事は何か。
 これは、今に集中する事だと思います。
 過去の事を嘆き、悩むのではなく、未来の事の心配を先取りする事でもなく、今というこの一瞬に、気持ちを集中する事。私は、この今に気持ちを集中するという事の日本語が「信念を持つ」という事だと思います。

 「信念を持つ」この言葉を分解してみたいと思います。
 「信念」=「念を信じる」。「念」という言葉はどう書くのか。「念」という言葉は「今の心」と書きます。
 つまり、「信念を信じる」という事は、自分が今思っている、「自分の今の心を信じる」という事です。
 では、「今の心を信じる」という事はどういう事なのか。
 それは、自分が今持っている「なりたい自分」という夢、今考えている自分の人生の目標。それを、自分が出来るんだという事を信じることだと思います。それが、出来るという事を信じる事が出来れば、出来た強さに応じてそれは、実現するのではないでしょうか。それが、信念を持つという事だと思います。それが、今を強く生きるという事ではないでしょうか。

 という事で、2010年にあたって皆さんは、是非、安定した生き方の為に、信念を持って進み続けてほしいと願っています。

 それでは、今年もがんばりましょう。



2010年1月5日 学園長 西 和彦