理事長 式辞


 今日、待ち構えていたように咲きはじめた桜の中、この坂道を登っていらっしゃった中学六期生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。私たちは、みなさんが入学してこられる日を楽しみに待っていました。
 保護者の皆様に、お祝いを申し上げます。ご子息、ご息女のご入学おめでとうございます。
 ご来賓の皆様、本日はお忙しい中にもかかわらず、ご臨席を賜り、ありがとうございます。これからの六年間、子どもたちを温かく見守り激励していただけますように、お願い申し上げます。

 さて、新入生のみなさん、皆さんは、「中学受験」をするために、一所懸命努力をしてこられました。よく頑張りました。そして、その努力の結果として、須磨学園中学校の入学試験に合格されました。おめでとうございます。みなさんのこれまでの努力に拍手をおくります。
 そして、今これから始まる中学校生活に、不安と期待で胸をいっぱいにしておられることと思います。でも、大丈夫です。最初は不安になるものです。みなさんが、この坂道をのぼることが苦にならなくなった時に、その不安は解消されていることでしょう。

 兵庫県下には八つの男子校と、十五の女子校、そして十二校の共学の中学校があります。新入生の皆さんは、その中でこの須磨学園に進学することをお決めになりました。
 須磨学園は、世間では、「厳しい学校」、「しんどい学校」だと言われているようです。私たちは当たり前のことだと思っているのですが、外からすれば須磨学園は、「厳しくてしんどい」らしい。例えば、「坂道がしんどい」とか「休みが短い」、「勉強が大変」、「行事が多い」、「制服をちゃんと着ない」と注意される。須磨学園中学校には、須磨学園独自の校則があります。守っていただかないといけないルールがあります。制服がなくて、校則もさほど厳しくない自由な学校もあります。そのような別の中学校にいくという選択もあったはずですが、みなさんはこの須磨学園を選ばれました。
 みなさんが選んだこの須磨学園中学校は、みなさんをやさしく育み教えるだけでなく、厳しく鍛えることを考えています。
 なぜなら、私たち須磨学園が目指すことは、みなさんのもてる力を最大限に伸ばし、次の段階の教育を受けるにふさわしい知力と気力と体力の基礎をつくることだからです。 ですから、「こんなはずではなかった」という後悔をしないように、自覚と責任をもって学校生活を送ってください。

 私たちは、これからの六年間は、皆さんが将来、大学で「さらに深く学ぶ」ための準備期間であると位置づけています。それは同時に大人になって社会の中でよりよく生きていくために必要な力を蓄える期間でもあります。

 中学校では、英語という教科が新しく入ってきます。英語の勉強は努力の積み重ねです。最初、怠けると、後々厳しいとてもやっかいな教科です。でも、英語は、将来、皆さんが外国で勉強をしたり、仕事をしたりする時に必要になってきます。英語ができるようになれば、とても楽しい。色んな国の文化に触れることができますし、色んな国の人たちと話をすることができます。英語の授業は、予習をしてこないと意味がありません。復習しないで、できるようにはなりません。
 算数は数学と名前が変わります。知識のないまま、ひらめきだけで数学の問題を解けることは、まずありません。他の教科も同様です。授業の予習と復習は当たり前のことです。しっかりやりましょうね。

 今まで、皆さんの中には、人から与えてもらうことを当然のことと思ってやってきた人がいらっしゃるかもしれません。お母さんが朝起こしてくれるのは当たり前。テーブルに座れば、温かい食事がでてくるのは、当たり前。いつも綺麗に洗濯された服が用意されているのは当たり前。自分は勉強さえしていればいい。そう思って過ごしてきた人はいませんか。  受験を前にした皆さんはそれが許されてきました。でも、今日から、皆さんは中学生です。中学生になったこの日を機会に、今日から、少なくとも、自分のことを自分でできるようになってください。少しずつでいいです。朝、自分で起きる。言われなくても、学校にいく準備をする。
 自分の身の回りのことができるようになったら、今度は、自分以外の人のために、できることをしていく。
 皆さんが須磨学園で過ごす十二歳から十八歳までの六年間は、長い長い時間です。十二歳のみなさんの一年の重さは、十二分の一です。みなさんの一年は、私の四倍の重さです。
 今から、皆さんは何者にでもなれます。何になりたいか。どういう人になりたいか。色んな機会に色々と考えてみてください。みなさんは、何にだってなれます。みなさんが、「こうありたい」「こういう人になりたい」と、強く思い、決意すれば、何者にだってなれます。何になりたいか、どういう人になりたいか、なかなか見えてこない人、決まらない人もいると思います。それは、それでいいと思います。あせる必要はありません。
 色んなことをやってみましょう。色んなところへいって色んな物を観る。色んな国の異なった考えを持った人たちと話をして、自分の世界を広げていくこと。
 六年後に、どんな道にも進めるように、力をつけていきましょう。

 私達の使命は、皆さんをやさしく育み導くだけでなく、時には叱咤激励しながら、皆さんの進むべき道を示し、環境を整え、困難も喜びも共にしながら成長していくことです。ひたむきな努力を積み重ねてきた人にもたらされる、深い喜びと満足を、ぜひ皆さんに経験してもらいたいと思います。

 保護者の皆様、これからの須磨学園中学学校での生活は保護者の皆様のご理解とご協力なくしては成り立ちません。どうぞ、理解とご支援、ご協力をお願いいたします。大切なご子息ご息女を私どもに託していただけることをうれしく思います。と、同時にその責任の重さに身が引き締まる思いでございます。

 私達は、ご子息ご息女を全力でお育てし、情熱を持って指導にあたらせていただくことを、学園を代表し、ここで、お約束いたします。

 それでは、須磨学園中学学校六期生の皆さん、元気で出発いたしましょう。これからの皆さんの健闘と活躍を祈って、私の式辞といたします。

 



2009年4月4日 理事長 西泰子