理事長 訓話


 3学期の終業式であり、1年のしめくくりでもあります。この1年、学校においては「心の教育」が問われた1年でもありました。
 私は、みなさんの心を、ひとりひとりの/それぞれの心を教育するのは、学校ではむずかしいことだと思うんです。先生方が、みなさんひとりひとりの心に踏み込んで、心の教育をするというのは、難しいと思います。 「東京都 心の教育ノート」というのがあります。今、小学生には「心の教育」という時間があって、「心のノート」というのがあります。その本の表紙に書いている言葉を引用します。

『「心のノート」の表紙をめくると、広い海の上の晴れやかな青空を背景に、次のような文章が記されています。
 わたしにはある / いまよりもっとよくなりたいという心が / みんなのことを思いやるあたたかい心が / どんなことにもくじけずに / がんばりたいという心が / そんなわたしの心を / たしかめてみたい / のばしていきたい』

 一番最初にかいてあるこの言葉、小学校の3年生・4年生が、心について、自分の心をどう伸ばしていくかを考えていく言葉なわけですけれども、これはその年齢のこどもが書いたとは思わないんですよね。

学力だけでなく、みなさんの心が、人間的にどうやって成長していくのか、ということを考えてみたのですが、それは、もう、ひとりひとりが「いい人間になりたい」と思っていただくしかない。
私からは、2つだけ、提案させていただきたいと思います。

一つは、相手の立場にたって、ものごとを考えていってほしい。みんなも自分にとって、されると嫌なことは人にはしないと思います。私は太っているので、「痩せろ」とかそんなことを言われると嫌なので、人にはそんなことは言わないようにしています。瑣末な例ですけれども。 嫌だと思うことを人にもしない、それだけじゃなくて、もう一歩すすめて、相手の立場に立って相手の気持ちを考える。でも、わかんないですよね、相手の考えていることなんて。それを考える「想像力」というものを持っていただきたい。

もう一つ、嫌なことをされた場合でも、相手は悪気がないかもしれない場合があります。嫌なことを言われた場合でもそうです。そういうとき、どうするか。
「許す」ということをしてみてください。
懐深く「相手を許す」ということを、みなさんに一度、試みていただきたと思います。それは、大人になっても、なかなか難しいことです。
年齢を重ねて、知識が増えて、経験がふえたから、人間の心は成長するわけではないと思います。人を許すということを試みて、自分自身の成長を感じていただきたいと思います。

学習面について、生活面については、担任の先生方、生活指導の先生方がお話になると思います。よく聞いてください。以上です。


2008年3月19日  理事長 西 泰子