学年部長 挨拶


 学年団を代表して、ご挨拶申し上げます。
新入生のみなさん、保護者のみなさま、本日はおめでとうございます。

 数日前からここにいる学年の先生方は、皆さんをお迎えするために黒板をふき、机を磨き、掃除をしながら、「どんな新入生だろう、どんなふうに成長していくのだろう」と考えていました。きっと皆さんの方でも、私たちのことを「どんな先生かな、若くて優しい女の先生だったらいいな」とか「年寄りのこわそうなおじちゃん先生はいやだな」などと思った人もいたかも知れません。
でも大丈夫、人は見かけによらないといいますから。

 また、将来何になろうかと思いを巡らした人もいたことだろうと思います。宇宙飛行士になることだったり、政治家だったり、世界を駆けめぐる外科医であったり、小説家だったりしたのかも知れません。それは決して夢の話ではありません。今からならそれができるのです。そして今日がその第一歩です。

 その第一歩を踏み出すにあたって、オリエンテーションでも言いましたが、学年では、「自立と自律」という学年目標を掲げました。自立というのは自分で立って行動するということですし、もう一つの自律というのは、自分の行動を自分でコントロールするということです。学年目標としては、平凡ですが、実行するにはなかなか難しい目標だと思います。
 皆さんは覚えていますか、今日、自分で身支度をしてくることや自分でネクタイを締められるようにするという宿題を出したことを。その宿題はできましたか。これが自立の第一歩なのです。一歩を進めたら、次を歩み出さないと前には進めません。とどまることない前進を続けてください。私たちは、皆さんの前進する努力の手助けを一生懸命させていただきます。

 さて、保護者のみなさまは、真新しいちょっとダブついた制服を着たお子様を眩しく見ておられることと思います。3年たち5年たつうちにこの制服がはち切れんばかりになり、やがては親であるみなさまを超えることになると思います。そうなることは親の歓びであるに違いありませんが、ちょっと寂しい思いも抱くかも知れません。それが子離れの表れであるとも思います。
 
 さて、先日のオリエンテーションで、「学校を作っているのは生徒と保護者と教職員だ」という話をしました。こうした構図は一つのご家庭にたとえることができるかも知れません。

「遅刻をしないの」「勉強しなさい」「静かにしなさい」「テレビばっかり見てないの」など、こんなことを言うのは母親の役割でしょうか。 学校でもよく聞かれる言葉です。とすれば、教職員は母親の役割なのかも知れません。
 そんなお母さんに対して、子供たちは、「がみがみうるさいな」とか「勉強しろと言ったかと思うと、早く寝ろと言ったり、矛盾してるよ」とか「文句ばっかり言って、嫌いだ」などとおとうさんに泣きつくかも知れません。
 そんな時おとうさんはなんておっしゃるでしょうか。「そうか、お前の気持ちはよくわかる。父さんも同じ気持ちなんだ」 なんてまさか言ったりしませんよね。 きっとおとうさんは、「なぜ母さんが、そんなふうに言うのか、おまえにはわかるか?」とか「自分でできること、しなければならないことをしていないからじゃないのか」と反省を促し、ちょっと母親役とは違った視点で、冷静に対応しておられるのではないでしょうか。
 こんなふうに考えますと、保護者というのは父親役なのかも知れませんし、こうした姿勢が子離れの一つの形なのかも知れません。

 母親役の教職員にしろ、父親役の保護者にしろ、両親であるのなら、子供に対する願いは同じであるはずです。「健やかに成長し、やがては自分の夢を実現させ、幸福な人生を送ってほしい」と願っているはずです。
   そんな願いを叶えるために、私たち母親、父親役は、今からそしてこれからも協力していきましょう。
 あらためて、よろしくお願いいたします。

 これで私の挨拶と致します。




2007年4月7日 J1学年部長 須藤孝之