理事長 式辞


最初に、来賓の皆様に、お礼申し上げます。
ご来賓の皆様にはお忙しい中、ご臨席を賜り、ありがとうございました。
今日からの三年間、共学9期生をどうか温かく見守り、
激励してくださいますように、お願い申し上げます。

次に、保護者の皆様に、お祝いを申し上げます。
ご子女のご入学おめでとうございます。

そして新入生のみなさま、満開の桜の中、入学していらっしゃった
共学9期生、334名の皆さん、
私たちは皆さんのご入学をお待ちしておりました。
これからの三年間、よろしくお願いいたします。
よろこびを分かち合い、困難を共有して、過ごしていきましょう。

今日、長い階段と坂道を登っていらっしゃいました。
息が切れて大変だったと思います。
でも、大丈夫です。すぐに慣れます。
この階段と坂道を「しんどい」と思わなくなった頃に、
皆さんはこの学校の生活に慣れておられることでしょう。

須磨学園の生活を送るにあたって、みなさんに考えて
いただきたいことがあります。

我々大人、教師が、口をすっばくしてみなさんに言う言葉があります。
「高校時代が人生において一番大切な時期だ」
「この時期が人生送る上での基礎となる時期だ」
「だから、この時期に頑張らなければならない」そういうことをいいます。
これをみなさんはよくご存知だと思います。
なぜ、大人は揃いも揃ってこういうことを言うのでしょうか。
なぜなら、われわれは、かつて中学生高校生だったことがあるからです。

そして、この時期のすべてのことがらが、後々の人生において
どれほど影響し続け、深く心に残り続けるかを知っているからです。

ある人は、誇りをもってみなさんに高校時代を語るでしょうし、
また、ある人は、「しまった、もっと勉強しておけばよかった」
という一抹の後悔の念とともに高校時代の重要なことを語るでしょう。

どうかこれからの三年間を全力で駆けていっていただきたい。
寝食を忘れて、一つのことに熱中する経験もしていただきたいと思います。

話は変わりますが、テレビのドキュメンタリーの番組で、
アフリカに学校をつくるという番組がありました。

アフリカには十分に学校がありません。
アフリカの子どもたちは学校に行きたい。
学校にいくことが、いい人生を送ることを意味していました。
学校にきている子どもたちの目は輝いていました。

では私たちはどうでしょう。
この豊かな日本の社会において、
学校に行くことが、・・・いい大学にいくことが、
いい会社に入ることが、
いい人生を保証するものではなくなってきました。

そうすると、学ぶ意味が失われてきます。
学ぶことに対する価値を見出せなくなる人たちが増えてきました。

そんな中で「ゆとり教育」が導入され、
主体的に学ぶことが求められるようになりました。

つまり、「勉強したい人はどんどんやってください。
そうでない人はそれなりに。みなさんに課せられたハードルは最低限です。」
というあり方です。

その中で、学ぶことをしなくなる人がでてきました。

それが、学力の格差を生み出しています。

学力の格差は、学歴の格差となって、
社会にでてからの収入の格差になってきました。
「勝ち組」「負け組」という言葉がつくられ、
格差はますます広がっていっています。
それが今の世の中です。

では、みなさんが学ぶ意味をどこに見いだすか、ということですが、
須磨学園は、それは、自己を実現することだととらえています。
なりたい自分になるためだと考えています。

この今の世の中で、
格差が勝ち組vs負け組という言葉で語られていますが、
これは、能力の差を語っていることではないと私は考えます。

将来に希望をもって努力をした人と、
将来に希望がもてずに努力することを放棄した人との違いではないかと考えます。

三年という時間と、情熱と意欲と目的と健康と志を同じくする仲間がいれば、
ほとんどのことが達成できると思います。

学歴がその後の人生を保障するものでもないと言われて久しいのですが、
それでも社会は、世間は「いい大学に入ること」を求めます。
高等学校はいい大学に何人合格したか、ランクされ評価されています。
もちろん、われわれ私達も例外ではありません。
むしろ、我々は実績が評価されることを誇りに思っています。

社会のこのような矛盾の中で、みなさんが大いに悩み、自分の頭で考え、
自分の信じるところに従って自分自身の夢を実現されていくことを願ってやみません。
それでは、これからの三年間、共に頑張って過ごしていきましょう。

最後に保護者の皆様に、お願いがございます。
須磨学園の教育は保護者の皆様のご理解とご協力なくしては成り立ちません。
どうを、温かいご理解とご支援をお願いいたします。
大切なご子女を
私どもに託していただけることを感謝し、
同時にその責任の重さに身が引き締まる思いです。

私たちは、ご子女を全力でお育てし、
情熱を持って指導にあたらせていただくことを
学園を代表し、ここで、お約束いたします。

では、皆さん、
元気で出発しましょう。






2007年4月7日 理事長 西泰子