訓話

 皆さんおはようございます。

 まもなく2006年度の2学期が終わろうとしています。この4ヶ月間はどうでしたか?9月には高校・中学全学年がそろった新しい試みの体育祭もありました。10月には兵庫県で50年ぶりに開催された国体でも多くの人たちが参加し活躍してくれました。また高2の修学旅行、高1・S1の奈良・京都への研修旅行、そして11月のJ2のアジア研修と校外行事の多い学期でもありました。また三宮の国際会館で行われた、オーケストラによる演奏会も今も記憶に鮮明に残っているひとも多くいると思います。

 皆さんにはどんな2学期だったか、今しばらく振り返ってみてください。

 9月1日の始業式の時に、学園長先生は皆さんに2つのことをお話しされました。ひとつは、2学期は「食欲の秋」・「スポーツの秋」といろいろな「秋」がありますが、皆さんにはぜひ、タイムマネジメント・プロジェクトマネジメントをしっかりやって「勉強の秋」にしてほしい、そして一人ひとりが成果を出してほしい、というお話でした。

 大学受験は、小学生のように周りからお尻をたたかれて実現していくものではありません。自分で目標を決め、それに向かって自分の課題を見いだし、自ら行動を起こす姿勢が大切です。学問をすることは、人格や見識を高め、人間として成長していくことでもあります。したがって学ぶことは卒業後も続くことですが、学校にいる今このときに、自ら学ぶ「心」を育てておかないと、一生人間として寂しい思いをすることになりかねません。そうならないために、これからもPM・TMでしっかり日々の時間管理、自己管理を心がけてほしいと思います。

 もう一つは、心の持ち方についてでした。「親が子を殺したり」「子が親を殺したり」する事件が相次ぎ、学園長は皆さんには「親の立場に立って親の考えていることを考えてみてほしい」、「相手の立場に立ったものの考え方をしてほしい」ということをお願いされました。たとえゲームであっても殺人ゲームや戦争ゲームは絶対にしないでほしい、というお話でした。

 一年の世相を表す漢字が毎年この時期に発表されています。皆さんも知っているとおり、奇しくも今年の漢字は「命」でした。日本ではここ数年、年間の自殺者が3万人を超えているという現実があります。特に今年はいじめによる自殺が相次ぎ、中学生や高校生の若い「命」が大きくクローズアップされた年でもありました。

 3年前、長崎で小学6年生が同級生を刺し殺すという事件がありました。まだ記憶に新しい人もあると思います。この事件があって、あるところで児童たちにアンケートを実施した小学校がありました。その結果、人間は一度死んでも生き返ることができるんだ、人間の命はリセットできると思っている子供たちが数多くいたという報告がありました。小学校高学年の児童の中に、命は一度失えば二度と取り戻すことができないということが理解できていない子供たちがかなりの割合でいるということに私たちは大きな衝撃を受けました。命は一度だけのものです。二度と元には戻らないのです。今一度、「命」の重み、大切さについて考えてみてください。

 皆さんの中にも、今いじめや友だち関係で悩み、苦しんでいる人がいるかも知れません。私たち人間にはいろいろな人がいて、それぞれの考え方や生き方をしています。自分もその一人に過ぎません。お互いの個性や生き方、考え方を認め合い、共に尊敬し合って生きていくことが今一番大切であり、また求められていることではないでしょうか。どんなに苦しく、悲しくても、「自分は決して一人ではないんだ。自分のことを愛し、大切に思い、心配してくれる人が必ず回りにいるんだ。」ということを忘れないでください。

 明日からしばらくは家庭での生活が中心となります。家族と一緒に過ごす時間も増えると思います。日頃家族と話す機会の少ない人もいると思います。この機会に家族でゆっくり会話をもてる時間をぜひ取ってください。高3の諸君にとっては大きな山場となる期間でしょう。悔いが残らないよう、一日一日を大切にしてください。
皆さんのそれぞれの冬休みが有意義な休みになることを期待し、1月5日の始業式に元気に会えることを願って私の話を終わります。


2006年12月22日 高校教頭 竹内敏彦