学園長式辞
西 和彦

今日ここに入学式を迎えられたみなさんは、
今日から六年後の卒業式の時、
卒業アルバムの写真に
自分がどのように写っているでしょうか。
自分のめざした志望校にめでたく合格して、
満足している姿
あるいは、
友だちと楽しく学校生活をおくって満面の笑みを浮かべて映っている姿
どのような姿で写っていたいですか。
写真に写っている姿、
あるいは写っていたい姿を想いながら
自分のあるべき姿、
なりたい自分を想像してみてほしいのです。
今しばらく、考えてみてください。

須磨学園が一番大切だと考えていることは
  試験の点数ではありません。
  一流大学への進学だけではありません。
  給料の多い仕事への就職でもありません。

須磨学園が一番大切だと考えていることは
一人一人が「なりたい自分になる」ということです。

どうしたら「なりたい自分」になれるのか?
どのような「なりたい自分」を自分の目標に持てばよいのか?
そういったことを
  一人一人が
    自由自在に
    自分にあうように
      デザインしてほしいのです。

具体的にどのようにデザインするかということについて
須磨学園の教育方針と関連させてお話をしてみます。

須磨学園の教育方針をひとことでいえば、
勉学だけでなく、
勉学によって身につけ、育んだ
一人一人の「専門性」と「人間性」と「国際性」によって
よき社会人としての社会や国や世界に貢献し
そして、
仕事を通しての自分のライフスタイルを確立し、
それ、そのものを自分自身が楽しむ。

そういう人を創っていくことであります。

専門性を身につけるということでは、
たとえば科学の分野の勉強を通して社会に貢献するだけでなく、
自らも科学を楽しむということも忘れないでほしいのです。

また、国際性を身につけるということでは、
たとえば英語を学び、それを通して社会に貢献することは大切です。
それと同時に自分自身が英語を楽しむということも忘れないでほしいのです。

学生時代が勉強だけで終わってしまうとどうなるのでしょう?
社会にでて、自分の勉強が何の役にも立たず
社会にも貢献できなくて
おまけに高校時代が自分自身はちっとも楽しくなかったとしたらどうでしょう。
最悪です。そんなのイヤでしょ?

人間性ということを考えてゆくと、
それは「心」ということに行き当たります。
では、心をどう持てばいいのでしょうか。
私の人生の師とも言うべき中山素平さんという銀行家の方にいただいた言葉があります。
私の一番好きな言葉です。
  心を広く
  心を高く
  心を深く
  そして、心を温かく
皆さんにこの言葉を贈ります。
広く、高く、深い人になって下さい。
それと同時に、温かい人に・・・
そうなるための第一歩はそう願い、そう思うところから始まります。

みなさん、
夢を想うときに、
どうか、僕には駄目だろう、私には出来ないと思わないようにして下さい。

できないと思ってしまうことが、
前に進もうという可能性を止めてしまいます。
この不景気のなか、
世の中には、この可能性を、夢を凍らせてしまう空気が漂っています。
そういう空気を感じたとき、
皆さんどうか勇気を出して一瞬でもいいから息を止めて
そういう空気を吸わないでほしいのです。
それは、自分に対する自分による励ましでもあります。

こういったことを頭において
これからの学校生活で
「なりたい自分」を探し
「なりたい自分になる」ことを
成績がちょっと悪くても
自分に自信が無くても
そんなことにとらわれないで
遠慮せずに、どんどんデザインしていってください。
こういったことまで、須磨学園はお手伝いしたいのです。
こんなことを言っている学校は、私の知る限り、日本では須磨学園だけです。

これは、保護者のみなさまにお願いです。
お子様が話される進学や将来への希望について、
どんなことであっても、
どうか、徹底的に、肯定的に、暖かく励ましてさし上げていただきたいのです。
「それはいいね」
「できる」
「だいじょうぶ」
「いけいけ!」
「やれー!」
保護者のその言葉を聞くだけで、
子どもたちは力が心の底から湧いてくるような気がするに違いありません。

理事長も私も、
須磨学園の教員・職員全員が
君たちの一人一人を全力を挙げてサポートします。
君たち一人一人を応援します。
さあ、一緒に、強く、楽しく歩んでいきましょう。